今年も早いもので、今日でおしまいになりました。

今年は治療院の移転等があり、いろいろと大変な一年でもありました。

来年は春から週一回、提携している笹塚にある心療内科(ノリメディカルクリニック笹塚南)での治療を開始するべく準備中です。

来年も多くの患者さんに良い医療を安く提供できるよう、努力していくつもりです。

来て下さった患者さんにお礼を言わせていただきたいと思います。

ありがとうございました。

来年もよろしくお願いいたします。

柴田 亮

この間本棚を整理していたら、以前興味のある新聞記事を切り抜いておいたものが出てきたので、古い記事で恐縮なのですがしつこくアップしていきたいと思います(笑)。

 

『ハリ治療で妊娠率アップ』

体外受精の前後に女性の身体をリラックスさせるハリ治療をすると妊娠率が大幅に向上するという研究結果をドイツと中国の研究チームがまとめた。

米生殖医療学会誌に掲載された報告によると、同チームは、体外受精を受ける女性百六十人を2グループに分け、一方には体外受精の際、受精卵を子宮に戻す前後にハリ治療を実施。残りのグループにはハリ治療をせず通常の体外受精を行った。

その結果、ハリ治療グループの妊娠率は42.5%に上り、通常治療の26.3%を大幅に上回った。

体外受精の妊娠率は高くても3割程度とされ、繰り返し治療を受けるカップルの精神的、金銭的な負担が問題になっている。

妊娠率が向上する詳しい理由は分からないが、同学会のサンドラ・カーソン時期会長は「確実に検証されれば妊娠率向上に役立つ手法になる可能性がある」と注目している。

2002年4月30日 読売新聞 夕刊

 

不妊症の鍼灸治療は昔から行われてきました。

ですが、例えば鍼灸で不妊治療を受けてしばらくして妊娠したとしても、それが鍼灸治療のおかげだったのか、それともたまたま偶然時期が重なっただけなのか、誰にも分からないというのが現実でした。

この新聞記事の研究結果は鍼の不妊治療は効果がある事を、科学的に立証したものだと思います。

不妊の方は骨盤内の虚血がある人が多く、そのために女性ホルモンの分泌が悪く随伴症状としてからだの冷えなどを訴える事が多いのです。

そういう機能的な疾患に関しては東洋医学は得意な分野です。

身体をリラックスさせて骨盤内の血流を改善することにより女性ホルモンの分泌を促し、子宮内膜の状態を改善することで妊娠率がアップするのだと思います。

鍼灸治療は医療にかかる経費を削減する効果があるとの研究結果に基づいてアメリカでは積極的に保険治療に鍼灸が取り入れられています。

日本ではどういうわけかそういった事が議論すらされていないように感じます。

この経済的でリスクの少ない治療がもっと広く浸透して世の中の役に立つ為に、鍼灸師も努力していかなくてはいけないと思います。

 

 

これも半年ほど前の産経新聞に載った記事で恐縮なのですが・・・。

『うつ病の鍼灸治療 神奈川県立精神医療センター』

神奈川県は18日、県立精神医療センター芹香病院(横浜市)で4月から、はりなどを使って鬱病(うつびょう)治療に取り組む「ストレスケア病棟」を設置すると発表した。県によると、都道府県立病院で鬱病治療専門の病棟を設置するのは初めてで、はりを使った治療は珍しいという。

 薬が効かなかったり、副作用が大きい鬱病患者などが対象。はりによる血行改善に治療効果があるとみられるという。

 医師、看護師、しんきゅう師などがチームで治療に取り組み、8の字形のコイルに電流を流して磁気を発生させ、脳を刺激する「磁気刺激治療法」や、患者に強い光を当てることでホルモンの分泌を調整する「高照度光照射療法」なども行う。同病院は「少しでも多くの患者を救いたい」としている。

産経新聞3月18日

ここで鍼灸治療にあたる鍼灸師の村上先生は私が長野式鍼灸を教わった先生で、師匠ともいうべき先生です。

薬が効かないうつ病の患者さんの多くに東洋医学で言う『オ血』が見られます。

オ血というのは生理的役割を果たさなくなった血液の事で、主に頭や腹部に滞ってさまざまな病気の基になるやっかい者なのですが、この概念は西洋医学には全くありません。

西洋医学は病気を全体から引き離し、顕微鏡レベルにまで細かく見ていく事で薬を開発し治療していくもので、基本的な考え方は細菌病理学から発展してきたものです。

歴史的に見てみると、疫病などが死亡原因のトップにくるような時代には細菌病理学こそが時代にあった医療だったのだと思います。

カビから抗生物質が発見され薬として利用されるようになってどれだけ多くの人の命が助かったかわかりません。

しかし現代は水洗便所が普及し、衛生的にめざましく向上し抗生物質のおかげもあり感染症で命を落とす人は昔に比べると激減しました。

時代と共に病気の流行も変わって今はストレス病や生活習慣病が激増しています。

そうなってくると、細菌病理学的に病気を顕微鏡レベルで診ても治らない事が増えてきてしまいます。

例えばうつ病を『神経伝達物質のセロトニンが不足している』からそれを増やすような薬を作っても、なぜセロトニンが不足してしまうのか?といったもっと根本的なところはそのままになってしまいます。

その根本的な原因に対する一つの答えが頭部の『オ血』です。

頭に非生理的な血液が溜まっていれば脳への血流は阻害され、神経細胞への酸素供給や老廃物の代謝などが低下し、結果としてセロトニンも不足してしまうというのは普通に考えても自然に起こりうる事だと思います。

ストレス病や生活習慣病が激増している現代では、医療に東西などは無い、患者さんのために医師と鍼灸師などが一緒になってお互いの短所をカバーし合い長所を伸ばす事でより良い医療を提供する事が必要だと故長野潔先生も著書の中でおっしゃっています。

今回の神奈川県立精神医療センターでの取り組みが成功し、広く普及する事を願っています。

ちなみに頭部オ血の診断方法は、つむじあたりの皮膚を指で押してみてブヨブヨしていたり痛みがあったり熱感がないかどうかを調べます。

ひざのお皿の上を押して比べると、ブヨブヨしているかどうかがわかりやすいと思います。

半年以上前の朝日新聞の夕刊に出た記事で、いまさらという方もいらっしゃると思いますが・・・。

『過労で脳下垂体が死滅』

極度の過労によって、脳の中心部にある内分泌器官、脳下垂体の細胞が次々と死滅していることを、大阪市立大の研究チームがラットによる実験でつかんだ。これまでは過労は生体の機能が落ちるだけとみられていたが、実際は生命維持の中心器官の一つが破壊されていることを初めて立証した。熊本市で15日から始まった日本疲労学会で報告する。 

2月15日 朝日新聞

今までは過労死が起きる事はわかっていても、その診断名は『心筋梗塞』などで、まさか下垂体の細胞が死んでしまっているとまでは思われてはいなかったわけです。

確かに過労などの肉体的、精神的ストレスが加わると脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが分泌され、それによって副腎皮質ホルモンが分泌されるとからだのいろいろな器官に作用する事はカナダのハンス・セリエの研究によって知られていました。

これは本来ストレスから身体を守る為に作用するしくみで、最初のうちは免疫力が上昇しストレスに対する力が上がります。

ところが、この状態が長期にわたるとだんだんとそのしくみが疲労してきて重要なホルモンを分泌している副腎やリンパ性器官で免疫に関係している胸腺が萎縮してしまいます。

野性の動物に襲われる事や飢えなどが一番の脅威だった大昔の人間にとって、あまりに長期にわたるストレスというのは無かったのでしょうね。

もちろん飢えは長期間続くストレスなのですが、それに関しては人間は高い順応性を持っています。

血糖値を上げるホルモンは何種類もあるのに、血糖値を下げるホルモン(インシュリン)が一種類しかない事も、今まで人類が飢えと戦ってきた長い歴史からみるとごく自然な事のように思います。

現代は人類史上かつてないくらいの急激な環境の変化が起きていて、人間がそれについていけていない事は確かなようです。

幸せになるために働いているはずなのに、そのせいで回復不可能なくらいのダメージを負ってしまうなんて事になったら本末転倒です。

頭で考えるのではなく、身体からの訴えに素直に従う事が、結果的に自分を守る事につながるのではないかなと思います。

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